石川遼は腰痛という爆弾をかかえているためパターに関しても以前ほどのするどさがなく悩んでいる様子も見受けられます。
ですが彼のポテンシャルには侮れないものがあり、調子を取り戻せば以前にもまして素晴らしいプレーを見せてくれることは間違いなく、また不調の時でさえ石川遼のパターには見習う部分もあるくらいです。
それはどのようなものでしょうか?
ゴルファーなら誰でも一度はパターの好・不調を経験します。
そして好調時は同じパターを使い続け不調時はパターを変えてスランプを脱しようと考えがちです。
しかしそうとばかりも言いきれない事を石川遼は教えてくれます。
彼の平均パット数は、プロ転向した2008年三位、賞金王となった2009年一位、2010年二位、2011年一位、です。
まぎれもなく天才的なパターの名手といえましょう。
アマチュアゴルファーがプロと同じクラブを使えるのはパターだけとも言われています。
せめて同じパターで石川遼にあやかりたいと願う気持ちもわかりますが、真剣にスコアアップを目指すならパターとの相性も考えなければなりません。
これからアマチュアの参考になりそうなトピックを交えながら石川遼のパターの凄さを見ていくとともに彼のプレーから学べる点は何か考えてみたいと思います。
はたして石川遼のパターが正確な理由とは?
石川遼のパター5つのポイント
パターの使い分け
石川遼はトッププロには珍しく頻繁にパターを変えます。
不調時だけではなく好調時にも変えています。
好調時というのはパターの動きやタッチを敏感に感じますからパターを変更する好機ともいえます。
逆に不調時だと悪影響が出る場合もあります。
パターの違いが判らないために合わないパターを選んでしまう、その結果不要なフォーム改造をしてさらに調子を崩す、などです。
石川遼がパターを変更するのは、好調な時にも現状を守ろうというのではなく世界を見据えてさらなる向上を願ってのことでしょうから安易なマネは禁物です。
パターヘッドの種類
石川遼の使用パターを見ると参考になる部分がいくつかあります。
最近よく使用している細長いL型マレットの特徴は、クランクネックに比べボールが近くに感じる、フェースが開閉し易い、スイートエリアはやや大きめ、などです。
パターといえどもそのストロークは背骨を中心とした回転運動が基本ですから腰痛などの不安があればL型パターで補うという考え方も出来ます。
石川遼は賞金王を争ったシーズンにもセンターシャフトのマレットとL型マレットの二種を多用し、ピンタイプもたまに使用していました。
その柔軟性も石川遼に見習いたいところです。
長さとスタンス
ある試合では35インチのマレットを使用しましたが「2メートルのパターはまっすぐ打てるのに3~5メートルだと軸がぶれた」とのことで、翌週は33インチのピンタイプに変えました。
短くしたのは「スタンスを広くしてどっしり構えたい」からとのことです。
他の試合でも初日は狭かったスタンスを徐々に広くして最終的に肩幅近くにするなどの工夫をしています。
この試合で石川遼は「ダウンブローに打つパターのクセを直したかった。
スライスラインが右に行くためアドレスで左に向いてしまって向きがバラバラになる。
今週はタッチが合いそうでどんな感じで打っても大丈夫そうだったので直してみようと思った」と言っています。
パターの長さの参考になると同時に好調時に大胆にスタンスを変えるという石川遼のアグレッシブな姿勢が良く出ています。
石川遼のようなトッププロの場合、専属トレーナーやコーチ、クラフトマンなどがバックアップしたうえでパターを選んだりフォームをいじったりしますので、そのようなサポートの無いアマチュアの場合はよくよく慎重にしましょう。
研究熱心
石川遼の練習熱心は有名です。
一日数時間をパター練習に費やす時もあるといいます。
さらに様々な練習器具を積極的に取り入れ、メーカーと共同開発したこともあるほどです。
様々なメディアでも取り上げられましたのでご存知の方も多いでしょう。
また不振だった2013年にもスタンスを確認する為のプレートを自作したりしています。
練習器具を開発するということはパターのメカニズムに精通していなければなりません。
石川遼はパターに関するエンジニアリングもかなり研究したことでしょう。
このような研究熱心さも彼のパターの強みの一つと言えましょう。
チャレンジングな姿勢
パターでよく言われる「ネバー・アップ・ネバー・イン」という言葉、「届かなければ入らない」という意味で、ショートを戒める言葉でもあります。
タイガー・ウッズのミラクルパットのほとんどは、外したら相当オーバーするんじゃないか、と思うくらい強気で打っています。
石川遼も同様で、パターが好調な時は果敢に攻めるという姿勢をテレビからも感じ取ることができました。
彼の良さはその姿勢にもあるでしょう。
腰痛に悩むようになってからはスイング改造に取り組みましたが、試合に出場する限りは不安がある状態でもパフォーマンスを発揮しなければなりません。
パターの変更がそのための解決策の一つにもなりうるといえます。
いかがだったでしょうか?
石川遼のようなトッププロからは見習う点がたくさんあります。
特にパターは飛距離を求めるものではありませんから、アマチュアでも手に取り易いものです。
ヘッド形状は同じものを使うのは構いませんが、ライ角・長さ・グリップなどは自分用にチューニングすることをお勧めします。
そして良いスコアを出せればそれこそ石川遼と同じパターを使う歓びが大きくなるというものです。